多言語サイトのデザインは、単に見た目を整えるだけではなく、異なる言語・文化・文字体系に対応しながら、すべてのユーザーにわかりやすい体験を提供するための設計が重要です。翻訳後の文字数の増減や表記ルールの違いによってレイアウトが崩れることは珍しくなく、初期段階からこうしたリスクを想定して設計を行う必要があります。
さらに、多言語サイトは更新や追加が多く発生するため、日常的な運用フェーズでも破綻しないUIを準備しておくことが欠かせません。加えて、SEOやパフォーマンス最適化といった観点も含めて考慮し、ブランドの一貫性と現地ユーザーの読みやすさを両立させることが大切です。
多言語化に取り組むと、翻訳後のテキスト量が増減してボタンのはみ出しや見出しの折返しが起こりやすくなります。日付・数値・通貨・単位の表記も国や地域によって異なり、姓名の順序や敬称などの違いがユーザー体験に影響します。さらに、色やアイコン、写真の解釈が文化によって異なるため、誤解を与えてしまうケースも少なくありません。
これらを踏まえると、余白の設計やフォント選定、意味重視のアイコン利用、表記ルールのガイド作成が欠かせません。翻訳後の実画面で破綻しない設計を前提に考えることが、多言語サイトの基本になります。
レイアウト設計では、文字数の増加を見込んで見出しやボタンに余白や改行の余地を残すことが必要です。グリッドは比率で構成し、カードやテーブルは折返しや省略表示を備えて情報量を吸収します。画像内のテキストは避け、翻訳可能な外部テキストとして扱うことが望ましいです。
コンポーネント単位で最長文のケースをテストし、実運用での崩れを防ぐことが重要です。
色や画像は国ごとに意味が異なるため、注意が必要です。例えば、赤は日本や欧米では警告を示すことが多い一方、中国では吉兆を表す色とされています。喪の色や宗教的な色も地域によって大きく異なります。写真においても、服装やジェスチャー、人物の多様性などが文化的に受け取られ方を左右します。
食品や医療分野では、誤解を避けるために慎重な画像選定が必要です。色とビジュアルは「機能」と「象徴」の両面で検証し、代替表現も用意しておくと安心です。
アラビア語やヘブライ語などのRTL言語では、ページ全体の構造が反転します。ナビゲーションの並び、スライダーの進行方向、パンくずリスト、ページネーション、矢印アイコンなどを左右逆に設定する必要があります。
さらに、本文は右から左ですが、数値や製品型番は左から右に表示される場合もあるため、双方向テキストに対応できる設計が求められます。RTL対応は最初から設計に含めることで、後の修正コストを抑えられます。
文字体系が変わると、フォントの字面や行間が異なり、同じデザインでも印象が大きく変わります。ラテン文字、CJK(中日韓)、アラビア文字、キリル文字など、それぞれに適したフォントを用意する必要があります。Webフォントを利用する場合は、表示速度と可読性を両立させるためにサブセット化や可変フォントを活用します。
見出し・本文・UIラベルの階層を統一しておけば、言語ごとに最適化しても全体の統一感を保つことができます。
言語切替は、ヘッダーの目立つ位置に配置するのが基本です。国旗のみの表示では誤解を招くことがあるため、母国語での言語表記を併記することが望ましいです。
現在選択している言語の明示や、切替後の遷移ルール(同じページの別言語版へ移動するか、トップページへ戻るか)の統一も必要です。言語名・記号・アイコンの組み合わせによって、ユーザーが迷わない仕組みを整えましょう。
主要なフロー(検索、問い合わせ、購入、資料請求など)は、すべての言語で同条件でテストする必要があります。テキストの最長ケースや低速回線、古い端末、スクリーンリーダー環境などを考慮し、幅広い検証を行うことが重要です。
翻訳前提のモックではなく、実際の翻訳データを用いたテストを行うことで、細かな不具合を事前に防げます。
多言語サイトのデザインは、文字数・読み方向・文化的背景・文字体系の違いを考慮しながら、どの言語でも統一された体験を提供することが目標です。柔軟なレイアウト、文化に配慮した色や画像、RTL対応、適切なフォント選択、わかりやすい言語切替、実データを用いた検証までを整えることが成功の鍵となります。
どの言語でも快適に利用できる品質を基準に設計と運用を行うことで、国際的なブランド価値を高められます。
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本当に優れた製品の実力を
他国の人に伝えたい!
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ローカルサイトも含めた制作・運用を推進できるのが強みで、現地支社を巻き込みながらの進行やシステム構築も得意としているため、戦略立案や企画・プロジェクト運営を相談したいメーカーにおすすめです。
現地の美意識に寄り添い
商材の価値を表現したい!
自社スタジオでの映像制作で、人の美意識に働きかけるような表現を得意としています。
化粧品や装飾品・ファッションなどおよそ30社以上の美容・アパレルメーカーのサイト構築実績を有しており、言語化できない「美しさ」を、映像コンテンツで広く伝えていきたい会社におすすめです。
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成分や栄養価などの情報を、食文化を知るプロが正しく多言語化し、食流通の法規制を守って適切にクリアした上で、ブランド価値を世界中に拡げていく支援に期待できるでしょう。
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(※1 参照元:イントリックス サービスサイト|https://www.intrix.co.jp/lp/global-website-strategy/)
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(※2 参照元:ミツエーリンクス 公式サイト|https://www.mitsue.co.jp/our_work/projects/past_projects.html)
・あとらす二十一の選定理由:採用強化を目的とした企業サイトを、グローバルサイトとして再構築した実績が50社のなかで最も多い会社として選出。
(※3 参照元:あとらす二十一 公式サイト|https://at21.jp/works/maker.html)